2018.06.29
  • 作品紹介

X-MEN人気の原点となる伝説的名作が登場!

『X-MEN:アンキャニィ・ジェネシス』

X-MEN:アンキャニィ・ジェネシス(2018.01.30発売)

 [ライター] クリス・クレアモント 他
 [アーティスト] デイブ・コックラム
 [訳者] 御代しおり
 [レーベル] MARVEL
 本体3,500円+税/B5/184P
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マーベルコミックスの中には、各シリーズの方向性を大きく変えることになるターニングポイントとなる作品があります。今回紹介する『X-MEN:アンキャニィ・ジェネシス』は『X-MEN』シリーズにおけるそうした作品のひとつで、マーベルコミックス史上において名作と言われています。

『アンキャニィX-MEN』がスタートを切ったのは1963年。アメリカで黒人の公民権運動が大きく注目される中、人種差別をミュータント差別に置き換え、マイノリティが抱える問題を意識したストーリーが展開されていきました。
創設メンバーとして活躍したのは、サイクロップス、マーベルガール、ビースト、エンジェル、アイスマンという、若き5人のミュータント。『アンキャニィX-MEN』は、途中でメンバー変更がありつつも、彼らを中心としたチームものとして進んでいきます。
マーベルコミックスにおける同じチームものとしては、すでに当時人気を博していた『ファンタスティック・フォー』がありましたが、「家族もの」であり、「学園もの」である『X-MEN』とは異なるものでした。
学園もの要素と、人種差別問題の視点の組み合わせは、一部で熱狂的なファンを生みはしましたが、大衆的な人気を得ることはできず、連載開始10年を経た時点では、いつも打ち切り候補に挙がるようなシリーズとして位置づけられていました。

そこで、スタートから12年が経った1975年、テコ入れのため、お馴染みのメンバーを大きく入れ替え、通常号の倍のページ数の特別号『ジャイアントサイズX-MEN』で新たなスタートを切ることになります。そしてこのことが、その後のシリーズを大きく変えることになります。

物語は、プロフェッサーXが新たなX-MENをスカウトするために、世界各地を駆け回っているところからスタートします。
X-MENたちは南太平洋上に浮かぶ無人島から新しいミュータントの反応が現れたというプロフェッサーXの言葉に従い、その島へと向かいますが、島で何かを目撃した後、リーダーであるサイクロップスを残して、メンバー5人が姿を消してしまいます。彼らを捜索すべく、プロフェッサーXは世界を巡り、ナイトクローラー、ウルヴァリン、バンシー、ストーム、サンダーバード、サンファイヤー、コロッサスという人種も国籍も異なるミュータントをスカウト。新チームを編成し、サイクロップスの指揮のもと謎の島へと足を踏み入れます。手分けして島の探索を始めた新生X-MENは、不可思議な現象に次々と遭遇。島に隠された秘密を知ることになります。

事件の解決をきっかけに、ジーン、エンジェル、アイスマン、ハボック、ポラリスの5人がプロフェッサーXのもとを離れ、それぞれの道を歩み始め、サンファイヤーを除いた新メンバー6人がチームに残留。新しいX-MENが誕生することになります。
彼らは(途中で死亡してしまうあるキャラクターを除き)X-MENの主軸としてその後もずっと活躍することになります(また、そのあるキャラクターの死は、チームにとってのトラウマとして語り続けられてもいきます)。

本作の設定上の変更点のひとつに、それまでのX-MENたちがアメリカ出身だったのに対し、新規加入メンバーのほとんどがアメリカ国外から集められた点があります。国際色豊かにすることでキャラクターの多様性が広がったのです。X-MENを代表する存在となっていくウルヴァリンが加わったことも、重要なポイントでしょう。各キャラの出自に絡んだ、深みを増したストーリーも見所になっています。

現在の作品を中心に読んでいる人からすると、1975年に描かれた本作には「古い作品」という印象を持ってしまうかもしれません。ですが本書のメインライターで、14年にわたってX-MENシリーズを担当したクリス・クレアモントによる物語を読んでみれば、当時の試みが今の物語にもつながる影響を与えたことがわかるはずです。X-MENの世界観を広げる転換点となったこの伝説的一作を、ぜひこの機会に読んでみてはいかがでしょうか。

文・石井誠(ライター)