2019.02.07
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ヴェノム化したヒーローによる<ヴェノム大戦>勃発!

『ヴェノムバース』『エンド・オブ・ヴェノムバース』『エッジ・オブ・ヴェノムバース』

「ヴェノム」は、かつてスパイダーマンに寄生していた宇宙生物シンビオートが、スパイダーマンに恨みを持つ新聞記者のエディ・ブロックに寄生して誕生したビランです。88年にコミックでデビューを飾った後、単なるビランの枠に留まることなく独自の正義感に基づいたダークヒーローとして活躍するようになり、人気を獲得していきました。
コミックファンにはもとから人気のあったヴェノムが、トム・ハーディー主演による実写映画が公開されるや、全世界で大ヒットを記録。今後の展開も含めて、大きな期待が寄せられるキャラクターへとなりました。
そんな“ヴェノム・フィーバー”の余韻が冷めやらぬ中で紹介するのは、ヴェノム化したヒーローたちによる戦いを描いた『ヴェノムバース』3部作です。

『スパイダーバース』とはどう違う?

『ヴェノムバース』の物語は、自分達を狙う強大な敵に対抗するため、並行世界のヴェノムたちが集結するところスタートします。
これは並行世界のスパイダーマンたちが、インヘリターズを倒すため協力して戦う姿を描いた『スパイダーバース』と同じ導入ですが、この2作は異なる楽しみ方ができるようになっています。
最大の違いとなるのが、集まったヴェノム達が持つ個性の豊かさ。『スパイダーバース』で集まったのは、それぞれが別々の次元から来たとはいえ、全員が「スパイダーマン」でした。
それに対して『ヴェノムバース』に登場するヴェノムは、多種多様なヒーローやビランが、それぞれのアースでシンビオートと共生関係になって誕生したもの。「エディ・ブロック」は正史の本人ただ一人なのです。
ヴェノム版キャプテン・アメリカやヴェノム版ウルヴァリン…と、元々のキャラクターの性格や能力はそのままとなっており、そこに「ヴェノム化」の要素が加えられています。
そのため各々の姿形はもちろん、行動原理も異なり、多様なヴェノム達のバトルが展開される事になるのです。

ヴェノム軍団VS天敵ポイズン

『ヴェノムバース』シリーズは、さまざまな世界のヴェノムの誕生秘話を描く前日譚『エッジ・オブ・ヴェノムバース』、ヴェノム大戦の起点となる物語『ヴェノムバース』、そしてその戦いの決着がつく『エンド・オブ・ヴェノムバース』の三部作で構成されています。

まずはあらすじを紹介していきましょう。

マーベルのメインユニバース〈アース-616〉で、ビランと戦っていたヴェノムことエディ・ブロックが、突然荒廃した世界に飛ばされてしまうところから物語は始まります。
そこには助けを求める子供がいて、ヴェノムが手を差し伸べようとしたその時、黒い盾が子供を吹き飛ばします。その盾の持ち主は、キャプテン・ヴェノム。シンビオートに寄生された別次元のキャプテン・アメリカでした。「キャップがなぜこんな事を?」と訝しがりながらも、この異世界の唯一の手がかりである彼に導かれるまま、そのアジトに行ったエディは、そこで自分に先んじて集められたヒーロー達に出会います。スパイダーマン、ブラックパンサー、ゴーストライダー、デッドプール、ロケット・ラクーン、オールドマン・ローガン……彼らもまた、各々のアースでシンビオートに寄生され、ヴェノム化したヒーロー達でした。
時空を越えて彼らを呼び寄せたヴェノム化したドクター・ストレンジは、ヴェノム化したヒーローを取り込もうとする天敵“ポイズン”の軍団を倒すために、彼らを呼んだと言います。
ヴェノム達はポイズンに侵食された世界を救うべく、団結して戦いを挑みます。しかしポイズンはヴェノム化したヒーロー達の心の隙をつき、彼らを次々とポイズン化していきます。形勢が不利になる中、ヒーロー達はとある最凶のビランを喚しようとしますが…。

本編の舞台であるアース-TRN644での戦いは『ヴェノムバース』にて一旦決着がつくものの、ヴェノムとポイズンの最後の戦いは『エンド・オブ・ヴェノムバース』へと続いていきます。

宇宙で勢力を拡大したポイズンの本隊は、〈アース-616〉へ次元を越えて侵攻を開始。ついに〈アース-616〉のヒーロー達とポイズンの戦いが始まります。ヒーロー達が次々にポイズンの罠にかかる中、エディは行動を共にしていたX-MENの別動隊と共に、戦いを挑むことになります。

【ヴェノム化したヒーロー】というコンセプトを楽しみ尽くす三部作

『ヴェノムバース』は、ポイズンに支配された荒廃した世界を舞台に、ヴェノム化したヒーローたちが生き残りをかけて闘う物語です。
ポイズンに襲われるとポイズン化してしまうという、ゾンビものの要素があるあたり、これまでのマーベルの大型イベントとは異なる趣を持っています。
極限の状況で戦うヒーローたちの間に少しずつ絆が生まれていく様子も描かれていて、エディとロケット・ラクーンにように普段接点のないキャラクター同士の掛け合いも新鮮です。

『エンド・オブ・ヴェノムバース』は、『ヴェノムバース』よりもスケールアップして、全宇宙規模の物語が展開されます。エージェント・アンチヴェノムや、シンビオートに寄生されたことで再びブラックコスチュームとなったスパイダーマンとヴェノムが共闘するなど、『スパイダーマン』シリーズのファンならば思わずニヤリとする要素が散りばめられているのも見どころのひとつと言えるでしょう。

『エッジ・オブ・ヴェノムバース』では、『ヴェノムバース』で活躍するX-23、グウェンプール、オールドマン・ローガン、ゴーストライダー(ロビー・レイエス)、デッドプールの物語が描かれます。時空を越えて召喚された彼らは、元いた世界でどのようにヴェノム化したのかが明らかになります。この5人以外にも、ドクター・ストレンジ、キャプテン・ヴェノム、パニッシャー、ヴェノムロケット、そして敵であるドクター・ドゥームの短いエピソードも収録されており、『ヴェノムバース』をより楽しめる構成になっています。

「ヒーロー達のヴェノム化」というコンセプトによって、『スパイダーバース』とは違ったヒーロー大戦を描いた本作は、その驚くべき展開、ヴェノム化したキャラクターの斬新なデザイン、変則的なチームアップなど、いくつもの要素を一度に楽しめます。ヴェノムファン、アメコミファンはもちろん、映画『ヴェノム』でヴェノムというキャラクターに興味を持った方にもお勧めできる作品です。

ヴェノムバース(2018.10.31発売)

 [ライター] カレン・バン
 [アーティスト] イバン・コエリョ
 [訳者] 秋友克也
 [レーベル] MARVEL
 本体2,300円+税/B5/128P
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エッジ・オブ・ヴェノムバース(2018.11.30発売)

 [ライター] マシュー・ローゼンバーグ 他
 [アーティスト] ローランド・ボスキ 他
 [訳者] 秋友克也
 [レーベル] MARVEL
 本体2,600円+税/B5/144P
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エンド・オブ・ヴェノムバース(2018.11.30発売)

 [ライター] カレン・バン
 [アーティスト] イバン・コエリョ 他
 [訳者] 秋友克也
 [レーベル] MARVEL
 本体2,500円+税/B5/136P
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