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仏米コミック界の超大物が夢のコラボレーション!
『シルバーサーファー:パラブル』
シルバーサーファー:パラブル(2017.12.27発売)

[ライター] スタン・リー
[アーティスト] メビウス ジョン・ビュッセマ
[訳者] 市川裕文 石川裕人
[レーベル] MARVEL
本体2,700円+税/B5/120P
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コミック業界では、想像もしていなかったコラボレーションが実現することがあります。しかし、その中でも最も有名かつ貴重なコラボレーションを一つ挙げるとするならば、ほぼ満場一致で選ばれるであろう作品が、今回紹介する『シルバーサーファー:パラブル』です。
ライターは『ファンタスティック・フォー』『スパイダーマン』『ハルク』『アイアンマン』の生みの親であり、アメリカンコミック史において、いまや生きる伝説ともなったスタン・リー。
アーティストは、バンドデシネ(フランスのコミックス)の巨匠であり、『アルザック』『アンカル』『ブルーベリー』などで、宮崎駿をはじめ世界中のコミック作家に多大な影響を与え、『ブレードランナー』『エイリアン』『トロン』といったSF映画で衣装デザインやコンセプトデザインを手がけたメビウスことジャン・ジロー。
コラボレーションすることになったのは、この大物二人がコミックコンベンションで食事を共にしたことがきっかけでした。元々二人は各々の作品を読んでおり、互いにリスペクトしていたのです。
スタン・リーはメビウスとの会話の中で、彼がマーベルコミックスのヒーローの中でもシルバーサーファーを気に入っていることを知り、メビウスの描く近未来的な世界観と、シルバーサーファーというキャラクターの相性の良さを喜んだそうです。
コミックの制作方法は、ジャック・カービーやスティーブ・ディッコと行ってきたマーベル・メソッドを採用することになりました。スタンがストーリーの骨子となるプロットを作成し、それをもとにメビウスがコマを割って作画。最後にスタン・リーがそこに台詞を書き込むという方式です。メビウスはこの方式は初めてでしたが、表現やプロットの面白さが彼の創作意欲を刺激し、結果的にそれぞれの良さが生かされた制作方法だったと言えるでしょう。
宇宙魔神ギャラクタスの再臨
ある日、宇宙望遠鏡が地球に近づく謎の巨大飛行物体を捉えました。宇宙船とおぼしきそれが近づくにつれて世界はパニックに。到来した船の中から巨大な人影が降り立ちます。それは星々を自らのエネルギー源として食べる宇宙魔神ギャラクタスでした。ギャラクタスは人々へこう告げます。「汝らの忠誠とひきかえに、我、この地に新たなる時代をもたらさん」と。
そんな中、ひとりの男が野望に目覚めます。彼の名はコルトン。元はテレビ伝道師だった彼は自らの再起を賭け、「ギャラクタスは自分が呼び寄せたものであり、法と規範からの逸脱を唱えるあのお方こそが真の神だ」と人々に訴えます。恐怖で混乱した世界には、ギャラクタスを神と崇める人々があふれ、コルトンは新興宗教の教祖として大きな力を手にします。
狂乱の度合いを深める街の片隅で、ボロボロの身なりをしたひとりの男がその様子を窺っていました。男の正体はシルバーサーファー。かつてはヒーローとして人々を救ってきた彼ですが、人間の迫害と無理解によって、今ではすっかり彼らに対して諦念を抱いていました。
しかしサーファーはコルトンが誤った方法で人々を導くさまを見過ごせず、彼に忠告しますが、そのときに慈悲深い心を持つコルトンの妹エリナと出会います。もう消えたと思っていた高潔な心に触れたサーファーは、エリナのために、再び銀色のサーフボードに乗って、ギャラクタスを止めるべく空を翔けます。
巻末には豪華特典を収録!
多くのヒーローコミックスを手掛けてきたスタン・リーのヒーロー観の到達点のひとつが、この『シルバーサーファー:パラブル』だと言えるでしょう。
そしてその叙事詩はメビウスによって命を吹き込まれます。乾いた独特のタッチで描かれたギャラクタス、シンプルで優美な姿のシルバーサーファーは、異なる神々しさをまとっています。そして近未来の情景・世界観の描写で高い評価を得ているメビウスによって描かれた街は、無国籍な雰囲気があり、本作の寓話性をさらに高めています。
本書には、メビウスが明かす制作の舞台裏と彼が手掛けたマーベルキャラクターのアートギャラリーといった貴重な資料に加え、シルバーサーファーのオリジンを描いた、独立誌の第1号も収録されています。メビウスの繊細なタッチとジョン・ビュッセマの美しくも力強いタッチを合わせてお楽しみください!コミックファンに限らず、多くの方に読んで頂きたい一冊です!

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