2017.07.04
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超人登録法賛成派として戦うマーベル最強ヒロインの隠された思いとは……?

Ms.マーベル:シビル・ウォー

Ms.マーベル:シビル・ウォー(2017.04.17発売)

[ライター] ブライアン・リード
[アーティスト] ロベルト・デ・ラ・トーレ マイク・ウィーリンゴ ジュゼッペ・カムンコリ
[訳者] 御代しおり
[レーベル] MARVEL
本体2,600円+税/B5/P136
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今回は通販限定で展開中の『シビル・ウォー』クロスオーバーシリーズの21冊目となる『Ms.マーベル:シビル・ウォー』を紹介します。
本作の主人公Ms.マーベルことキャロル・ダンバースは、アベンジャーズの古参メンバーです。
『ニューアベンジャーズ:ブレイクアウト』で新しく編成されたニューアベンジャーズには参加しなかったものの、『シビル・ウォー』突入後はアイアンマンと共に超人登録法賛成派の中核として活躍しました。彼女はそもそも米空軍に所属していて、すでに国家への登録を行っているためか、『シビル・ウォー』本編では、登録法に従うことに何ら疑問を持っていないかのように見え、その主義主張がほとんど描かれていないため、どのような考えで賛成派に与していたのかはわかりませんでした。
本作では、登録法反対派のヒーローたちを追いながらも、「自分のしていることは本当に正しいのか?」と揺れ動くキャロルの心情が描かれています。
 

登録法によってそれぞれの運命を選択する女性たち

本書には『シビル・ウォー』期のMs.マーベルを巡る3つの物語が収録されています。
 
一つ目の物語では、キャロルの前に二人の女性が現れます。
一人は、かつてのスパイダーウーマンであり、一度は能力を失ったものの、再び超能力を取り戻して復帰、現在はアラクネと名乗るジュリア・カーペンター。もう一人は、外骨格形成能力とクモの能力を併せ持つティーンエイジャーのアラーナことアーニャ・コラソン。
登録法賛成派の未登録ヒーロー更生チームに所属しているジュリアは、実は反対派と内通しています。登録を拒否するヒーローたちを逃がすため、情報を横流ししていたのですが、シールドの調査でそれが発覚。恋人であるクライムファイター、シュラウドともども、追及を逃れるため国外逃亡を図ります。彼女は離れて住む一人娘のレイチェルを連れて行こうとしますが、シールドがそれを知らないわけもなく……。
少女アーニャは、最近能力が目覚めたばかりの未登録ヒロイン。自分の能力にまだ戸惑いながらも、その力を正しいことのために役立てたいと考えています。
アイアンマンに命じられてアーニャを保護したキャロルは、アーニャとともに逃亡したジュリアを追跡します。三人の女性たちの邂逅は、はたしてどのような結末を迎えるのでしょうか。
本話の特徴は、未熟ながらも感性の高い少女アーニャ、自らの責任を果たそうとするキャロル、母として戦うジュリアという、立場の異なる三人の女性の視点から、超人登録法の正義を見つめなおしている点でしょう。『シビル・ウォー』というイベントは、正義の持つ多様な側面を、あらゆる視点から描くことで掘り下げるのです。

Ms.マーベル因縁の相手、ローグとの共闘!

二つ目の物語では、キャロルにとって因縁の存在であるX-MENのローグが登場します。
ビランだった頃のローグに襲われ、能力を吸収された上、意識不明の重体に陥った過去を持つキャロルは、ローグが改心した後も、彼女に対して割り切れない気持ちを抱え続けてきました。
顔を合わせただけで険悪なムードになるふたりですが、この日キャロルの家へやってきたローグは、実は別次元のキャロルに襲われ、戦っている最中。別次元のキャロルは「ウォーバード」と名乗り、ローグへの憎しみを暴走させる、過去の未熟なキャロル自身のような存在でした。因縁の相手、そして自分自身と相対することになったキャロルは、戦いの中で自分を見つめなおします。
ファンならあらすじだけは知っている、キャロルがローグに能力を奪われた経緯も描かれているので、X-MENのファンなら押さえておきたいエピソードではないでしょうか。

三つ目の物語は、現実改変の能力を持つ少年「ストーリーテラー」との出会いを描いた掌編です。暴走してしまったストーリーテラーの力を止めるため、キャロルは彼の力により、宇宙で活躍していた時の姿「バイナリ―」として戦うことになります。キャロルの作家(彼女が書いた本が登場)としての一面もうかがえる、見どころの多いエピソードです。

Ms.マーベル=キャロル・ダンバースを知ることができる一冊

このように本書は、登録法賛成派としての思い、彼女の過去に関わる重大エピソードが収録されていて、Ms.マーベル=キャロル・ダンバースの来歴をおさえられる構成となっています。
2018年公開の映画『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』にはキャロルが登場するようですし、2019年には『キャプテン・マーベル』として、マーベル女性ヒーロー初の単独映画の制作も決まっています。本書は、来年以降より話題になるであろうキャロル・ダンバースの入門書としてもオススメの一冊です。

文・石井誠(ライター)

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