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黄金コンビによる記念碑的傑作!
『ファンタスティック・フォー:カミング・オブ・ギャラクタス』
ファンタスティック・フォー:カミング・オブ・ギャラクタス(2018.03.30発売)

[ライター] スタン・リー
[アーティスト] ジャック・カービー
[訳者] 御代しおり 他
[レーベル] MARVEL
本体3,900円+税/B5/240P
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ファンタスティック・フォー黄金期の傑作!
マーベルコミックスのスーパーヒーローものが脚光を浴びるきっかけとなった作品と言えば、1961年にスタートした『ファンタスティック・フォー』。原作者であるスタン・リーとアーティストのジャック・カービーが生み出した4人のヒーローチームは、人間味溢れる、読者にとって身近なヒーローの原点ともなり、マーベルコミックスの新時代を切り拓いてきました。
今回紹介するのは、創刊から4年が経過し、『ファンタスティック・フォー』が黄金期を迎えた時期のエピソードを収録した『ファンタスティック・フォー:カミング・オブ・ギャラクタス』です。
本書の収録作が発表されたのは1965~1966年。今から50年以上も前です。絵柄やストーリーこそクラシカルですが、半世紀が過ぎた今でも語り継がれ、現行の作中でもたびたび言及される超有名エピソード。マーベルの歴史に燦然と輝く、偉大なる遺産であることは間違いありません。
現行コミックスの根幹となる設定、キャラクターが次々に登場
本作の収録作品は、物語がすべてつながっていますが、話は大きく三つに分けられます。
一つ目で描かれるのは、ファンタスティック・フォーに対抗するために、科学者系ビランであるウィザードがペースト・ポッド・ピート、サンドマン、メデューサを集めて結成したビランチーム「フライトフル・フォー」との戦いです。このエピソード群の軸となるのは、シングことベン・グリムの苦悩。本作に収録される直前のエピソードで、人間としての姿を取り戻しながらも、Dr.ドゥームとの戦いに勝つために、再びシングの姿となってしまったベンが、チームから離脱するところから話は始まります。あてもなく旅に出たベンを捜すFFでしたが、ベンはフライトフル・フォーに捕らえられ、洗脳されてFFの敵になってしまいます。ベンの苦しみとFFの絆の深さが語られる、FFらしさの詰まったシリーズです。
二つ目では、クリー帝国によって生み出された超人種族インヒューマンズが初登場します。フライトフル・フォーに参加していたメデューサを追って、インヒューマンズのゴーゴンが襲来。メデューサがインヒューマンズであることが明かされ、FFはインヒューマンズの王座争いに巻き込まれていきます。
最後に描かれるのが、本書のサブタイトルにもなっているギャラクタスの襲来です。宇宙を渡り歩き、惑星を自らのエネルギーとすべく食べてしまう宇宙魔神ギャラクタス。その次なるターゲットに地球が選ばれてしまいます。通常は事件への干渉を避ける超越的な存在ウォッチャーから、ギャラクタスとその先触れシルバーサーファーの存在を告げられたFFは、地球の存亡をかけた戦いへと挑むことに。圧倒的なまでに巨大なギャラクタスとの戦いは、マーベルユニバースの世界観を広げたとも言え、マーベルの歴史を大きく変えたと言えるでしょう。
さらに読み切り作品『ファンタスティック・フォー アニュアル』#3は、Mr.ファンタスティックとインビジブルガールの結婚エピソードになっています。ヒーロー&ビランが大集合という、看板タイトルのヒーロー&ヒロインの結婚にふさわしい豪華な内容です。
絶頂期のリー&カービーを堪能せよ!
インヒューマンズの登場、ギャラクタスの襲来が連続する濃密な展開は、当時のファンタスティック・フォーの勢いを象徴しています。次から次へと繰り広げられるアイデアの奔流は、名編集者にして原作者であるスタン・リーの絶頂期の証であり、現在、生きる伝説として語られる彼の、往時のパワーを実感できるはずです。
緻密なディテールの描き込みとダイナミックな画風で多くのアメコミファンを魅了したジャック・“キング”・カービーによって描かれるアートも、アメコミの歴史における重要な財産です。中でも宇宙的意匠に彩られたギャラクタスと、シンプルを極めたシルバーサーファーのデザインは、今後も古びることなく、新鮮な驚きを読者に与え続けることでしょう。
「アメコミ好きなら古典的名作も読むべし!」とは思いません。しかし多くのアメコミライターやアーティストが影響を受け、現在まで続く道の原点となる名作に触れると、現在の作品を今まで以上に楽しめると思います。マーベルコミックスの伝説の一端となる1冊、まずは読んでみてはいかがでしょうか?
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