2019.03.26
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善悪反転!悪のアベンジャーズVS正義のビラン!

『アベンジャーズ&X-MEN:アクシス』

今回は『オリジナル・シン』とウルヴァリンの死を描いた『デス・オブ・ウルヴァリン』に続いて展開された大型クロスオーバー『アベンジャーズ&X-MEN:アクシス』を紹介します。

アベンジャーズ&X-MEN:アクシス(2018.12.27発売)

 [ライター] リック・レメンダー
 [アーティスト] アダム・キューバート 他
 [訳者] 秋友克也
 [レーベル] MARVEL
 本体3,300円+税/B5/264P
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本作は、『オリジナル・シン』『デス・オブ・ウルヴァリン』の直後にスタートしたということもあり、この2作で起こった出来事に大きな影響を受けていますが、エピソード的には2012年にスタートしたマーベルのリニューアルキャンペーン「マーベルNOW!」の冒頭で起きたある事件の解決編ともなっています。
その事件とは、レッドスカルがプロフェッサーXの死体を盗み、その小脳を自身に移植することでテレパス能力を獲得、悪意を伝播させる力で人々を暴徒化させ、人間とミュータントの間で戦争を起こさせようとしたもの(『アンキャニィ・アベンジャーズ:レッドシャドウ』参照)。
新生アベンジャーズの活躍によって事件自体は終息しましたが、物語のラストで「オンスロートが生まれた」という言葉が示され、不穏な幕切れとなっていました。
レッドスカルは逃走した後、ミュータントを強制収容する施設を建設し、彼らを監禁します。この施設を調査すべくマグニートーが単身で潜入するも囚われの身に。その後ローグとスカーレットウィッチによって救い出されるも、マグニート―は怒りに身を任せてレッドスカルを殺害してしまいます。その結果レッドスカルの内部にあったサイキックエネルギーが爆発し、レッドオンスロートが出現。ついに最強の力を手に入れたレッドスカルが暴れ出すところから、本作は始まります。

レッドオンスロートの発する思念波は全世界に影響し、人々の憎悪を煽り立てます。その力は、別の任務にあたっていたアベンジャーズにも影響を与えるほどでした。事態を重くみたスティーブ・ロジャース(別の事件で超人血清が中和され、老人となってしまったため、ファルコンことサム・ウィルソンにキャプテン・アメリカの座を譲りヒーローたちを支援していた)は、レッドオンスロートを鎮圧すべく、アベンジャーズを現場に送り込みます。収容施設に捕らえられていたサイクロップスやハボック、そして救援にかけつけたX-MENたちも戦列に加わった総力戦が展開されます。
しかし、レッドオンスロートはトニー・スタークが『シビル・ウォー』の時にひそかに開発していた対ヒーロー専用センチネルを戦いに投入。ヒーローたちは弱点を突かれて次々に捕われ、劣勢を強いられます。マグニートーに率いられたビラン軍団の加勢で形勢を立て直したヒーロー達は、レッドスカルの意識とその奥に眠るプロフェッサーXの意識を反転させるスカーレットウィッチとドクターストレンジの魔法によって事態を解決しようとします。ですが、その魔法はその場にいたヒーロー、そしてビラン達にも重大な作用を及ぼすことになるのです……。

反転した彼らはどんな行動をとる?

本作のタイトルにある「アクシス」とは、軸や中心線という意味を持ちます。つまり、ある軸を中心に人々の心が反転してしまうということを意味するのです。その言葉通り、レッドオンスロートを意識を反転させた魔法の影響を受けたヒーロー達は、いつもの正義の意識が反転、それぞれが最も「やってはいけない」と自らに禁じていた行動に出ます。一方、ビランたちは犯罪への興味を失い、一転してヒーロー的な行動を取りはじめます。
悪意に染まったヒーローたちの悪者ぶりは、元々正義感が強いキャラクターほど極端になっており、アイアンマンやルーク・ケイジ、ハルク、ソーらの変貌は、彼らの今までの行動を知るファンにとっては大きな衝撃でしょう。
その一方で、Dr.ドゥームやカーネイジ、ロキ、セイバートゥースらビランたちのスーパーヒーローぶりも大きな注目ポイントです。その強さを知っているから味方になればこれほど頼もしいものはありません。
反転した状態で彼らが言う内容から、普段の本音が見えてくるのも興味深いポイントです。
ヒーロー同士が戦う『シビル・ウォー』、アベンジャーズとX-MENが戦う『アベンジャーズ VS X-MEN』といった、過去の大型作品の面白い要素が組み込まれている本作は、マーベル・コミックスファンであれば、大いに楽しめるはずです。

文・石井誠(ライター)