2017.03.31
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スター・ウォーズコミック既刊レビュー!(2)

『スター・ウォーズ:プリンセス・レイア』『スター・ウォーズ:ナー・シャッダの決斗』『スター・ウォーズ:ダースベイダー 偽りの忠誠』『スター・ウォーズ:ポー・ダメロン ブラックスコードロン』

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スター・ウォーズコミック既刊レビュー(1)
小説も含む時系列が知りたい方はこちら

スター・ウォーズ:プリンセス・レイア(2016.03.29発売)

[ライター] マーク・ウェイド
[アーティスト] テリー・ドッドソン
[訳者]  秋友克也
本体2,300円+税/B5/P112
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◆『エピソード4/新たなる希望』直後の物語

本作は、タイトルからもわかるとおり、レイア・オーガナを主人公とした物語です。物語の舞台となるのは、『スター・ウォーズ:スカイウォーカーの衝撃』、『スター・ウォーズ:ダース・ベイダー』と同じく、映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の後にあたりますが、この2冊よりも少し前の出来事が描かれています。

『スター・ウォーズ エピソード4』で手に入れたデス・スターの設計図によって、同盟軍に勝利をもたらしたレイア姫ですが、そうした状況に巻き込まれたことによって、彼女自身にも映画本編では語られなかった大きな変化がありました。ひとつは、故郷である惑星オルデラーンをデス・スターの攻撃によって、家族や同族たちと共に失ってしまったこと。そして、デス・スター破壊のきっかけを作った張本人であることから、帝国から多額の懸賞金をかけられた賞金首となったことです。

本作は、この「故郷を失った者」と「賞金首」という、レイアをめぐるふたつの状況が描かれています。

物語は、『スター・ウォーズ:エピソード4』のラストシーンである、ヤヴィンの戦いで活躍したルークやソロへの勲章授与から始まります。そこで、レイアは同盟軍の兵士たちに、オルデラーンを失ったことに対して、言葉少なに遺憾の意を伝えます。レイアが多くを言及しなかったのは、祝いの場に水を差したくなかったからだったのですが、オルデラーン出身の兵士たちは「みんな死んだのにたったそれだけか?」とレイアに怒りを抱きます。

さらにレイアは、賞金首になったことから、外出することを周囲から反対され、同盟軍の重要人物になってしまったことから、危険が伴う兵士としての仕事もできなくなってしまいます。

同盟軍、そしてオルデラーン出身者に対して何かできることがないかと悩んでいたレイアは、同じオルデラーン出身である女性パイロットのエヴァーンから、帝国軍がオルデラーン出身者を捕らえる動きをしているという話を聞きます。レイアは、彼女を冷血漢と毛嫌いするエヴァーンに、オルデラーン出身者を助けるために協力を求め、情報を集めるため、オルデラーンの修道会がある惑星ナブーへと向かいます。

そこで待ち受けていた罠を無事乗り越えたレイアは、オルデラーン出身者との合流に成功しますが、彼女の行動は帝国の知るところとなってしまいます。しかしレイアはオルデラーン出身者を救うため、エヴァーンとR2-D2と共に、さらなる危険な道へと踏み出していきます。

◆「バディもの」としての一面も

映画本編では、破壊されて以降は、あまり触れられていなかった惑星オルデラーンですが、本作は、オルデラーンがどんな星であり、そこを故郷にしていた者がどうなったのかに踏み込んでいます。そしてそれらの描写とともに、レイアのアイデンティティが描かれていきます。

また本作は、主人公の相棒も女性で、オルデラーン出身者の多くが女性という、『スター・ウォーズ』関連作品としては珍しい、女性を中心とした物語となっていて、女性同士ならではの共感や反発も描かれています。女性のレイアが主人公ということで、スター・ウォーズ世界の女性をきちんと描こうとしているようにも感じます。

そんな女性たちの戦いを描いたのは、テリー・ドッドソン。DCコミックスの『ワンダーウーマン』『ハーレイ・クイン』などでアートを担当し、魅力的な女性キャラを描くことに定評がある彼によって、強く逞しく、それでいて愛嬌のある女性キャラクターの華やかな描写がなされます。

一方、レイアのエヴァーンの「バディもの」としての側面もあります。ルークとソロ、『帝国の逆襲』のソロとレイア、『フォースの覚醒』のフィンとレイのようなコンビとは違う、女性同士だからこそのやりとりも新鮮です。そして、映画以上のアクションを見せるレイアの活躍も見所となっています。

スター・ウォーズ:ナー・シャッダの決斗(2016.05.30発売)

[ライター] ジェイソン・アーロン
[アーティスト] スチュアート・インモネン 他
[訳者]  秋友克也
本体2,500円+税/B5/P136
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マーベルコミックスによる28年ぶりの『スター・ウォーズ』のコミック化、そして「正史=カノン」として映画と世界観を共有することで話題となった『スター・ウォーズ:スカイウォーカーの衝撃』。映画本編では描かれなかった、ルークとダース・ベイダーの初対決、ボバ・フェットとの一騎打ちというアクションの見せ場だったこの作品、ラストではハン・ソロの妻を名乗る女性の登場したため、その続きが気になっていたファンも多いと思います。

本作は、そのハン・ソロの妻を名乗るサナ・ソロとの関わりから始まるかと思いきや、ストーリーの縦軸であるルークが辿るオビ=ワン・ケノービにまつわる物語から幕を開けます。

『スカイウォーカーの衝撃』のラストで、ルークがボバ・フェットとの激闘の末に手に入れた「ベン・ケノービの日記」。そこには、ジェダイの生き残りとして、オーウェン夫妻に預けられたルークを見守りながら過去を悔い、ひとりタトゥイーンの砂漠で暮らした日々、そしてある時にルークがみせた行動に喚起されて、世捨て人から再びジェダイ騎士として目覚めるまでのオビ=ワンの思いが書かれていました。

オビ=ワンの思いを知ったルークは、ジェダイ騎士としてさらなる修行を積むための場所の情報を得るべく、荒くれ者が集まり「密輸衛星」と呼ばれているナー・シャッダを訪れます。しかし、状況はルークの思惑通りには行かず、持っていたライトセーバーを奪われてしまいます。ライトセーバーを奪った男を追い、街中を駆け回ったルークは、衛星を牛耳り、ジェダイに関するさまざまなアイテムをコレクションしているクラッカス・ザ・ハットに遭遇。彼に捕らえられ、見世物として地下闘技場で戦うことを強いられてしまいます。

一方、帝国軍の拠点を探すために共に行動していたソロとレイアは、帝国軍に発見されてしまいます。なんとか追っ手を振り切り辺境の惑星に降り立つと、その後を追うように、ハンの妻を名乗るサナが現れました。レイアを捕らえ、帝国に引き渡そうとするサナ。それを説得しようとするハン。混乱する状況の中、帝国軍が彼らに攻撃を開始します。

『スカイウォーカーの衝撃』では、映画本編で描かれなかったダース・ベイダーとの邂逅やボバ・フェットとの戦いといった、敵との関係性が掘り下げられていました。一方、『ナー・シャッダの決斗』では、今後深い絆で結ばれていくことになる、ルーク、ハン、レイア、チューイ、R2-D2、C-3POらの関係性に重きを置くことで、「仲間」への思いを描く物語となっています。

ここには『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』で描かれた氷の惑星・ホスにおけるルークとハンの深い信頼関係や、ハンとレイアの関係に、深い説得力を持たせる試みがされているように思えます。

また、『帝国の逆襲』に向けて、ルークがジェダイ騎士として修行することに執着し、ヨーダのもとに向かう流れも、本作におけるジェダイを巡る戦いの影響を受けていることを感じさせます。このように映画本編とのかかわりを想像しながら本誌を読みこめば、スター・ウォーズの世界観が広がることになるはずです。

本書は以前紹介した『スター・ウォーズ:ダース・ベイダー』とも非常に近い時間軸にある物語ですので、併せて読むことで、ダース・ベイダーのルークに対する執念がより強固になる流れも理解することができます。

スター・ウォーズ:ダースベイダー 偽りの忠誠(2016.09.28発売)

[ライター] キーロン・ギレン
[アーティスト] サルバドール・ラロッカ
[訳者]  秋友克也
本体2,500円+税/B5/P136
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◆自身が計画した強奪事件を隠蔽&捜査!

シリーズ1作目『スター・ウォーズ:ダース・ベイダー』((紹介記事はこちら)、『エピソードⅣ/新たなる希望』でのデス・スター破壊により降格されてしまったダース・ベイダーが、失地回復すべく極秘で行動をおこす姿が描かれました。ベイダーは女性盗賊考古学者のドクター・アフラ、拷問ドロイドのトリプルゼロ、暗殺アストロメクドロイドのBT-1と行動を共にし、ドロイドで構成された私兵部隊を作り上げます。その一方でベイダーは、賞金稼ぎのボバ・フェットを雇い、デス・スターの破壊に貢献したある反乱軍パイロットの正体を探らせていました。その結果、探していたパイロットが、それまで存在をも知らなかった実の息子であることがわかり、ベイダーは息子を自分のもとに引き入れることを考えるようになります。

1作目でのこうした状況を踏まえてスタートした本作。その冒頭で、ベイダーはドクター・アフラと共にタトゥイーンに降り立ち、かつてルークが住んでいた家、そしてオビ=ワン・ケノービが隠遁していた住まいを訪れます。そこでベイダーは、彼らのこれまでの生活と、ルークとボバ・フェットとの戦いの痕跡から、ルークがまだジェダイとなるための修行を積んでいないことを知ります。ベイダーはルークを探索すべく、ドクター・アフラに新たな極秘任務を任せます。

それはベイダーが自ら押収し、帝国軍の輸送船に運ばせていたクレジットを、自らの目的達成の資金とするため、強奪するというものでした。ドクター・アフラはその任務を遂行するため、名うての賞金稼ぎを雇い、クレジットの強奪に成功します。しかしその後、ベイダーには自身が企てた強奪事件の犯人を捕まえるという任務が与えられます。有能で抜け目のないサノス監査官に見張られながら、ベイダーはドクター・アフラの跡を追うことになるのですが…。

強奪作戦の隠蔽と捜査を同時に行うベイダーは、どう事態を収束させていくのでしょう?事態をうまく乗り切れるかと思いきや、すぐに新たな不都合が生まれ、それを解決するためにまた行動し…という目まぐるしい展開は、これまでのスター・ウォーズ作品にはないものです。

また、1作目同様、ダース・ベイダーとドクター・アフラの奇妙なバディ関係が印象的な本作ですが、それ以上に目を引くのが、ダース・ベイダーのルークへの執着です。ルークのこれまでのいきさつを知り、感情が揺さぶられるベイダー。それは、彼が人間的な感情を取り戻しているようにも見えます。そして、その思いは『エピソード6/ジェダイの帰還』の終盤の展開にもつながります。『スター・ウォーズ:ダースベイター 偽りの忠誠』は、そんなベイダーの心の動きを再確認させてくれる1冊となっています。

文・石井誠(ライター)

スター・ウォーズ:ポー・ダメロン ブラックスコードロン(2017.02.28発売)

[ライター] チャールズ・ソウル
[アーティスト] フィル・ノト
[訳者]  秋友克也
本体2,700円+税/B5/P176
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◆映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』前日譚!

本作の主人公は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に登場したレジスタンスの敏腕パイロット、ポー・ダメロン。物語は、彼がレジスタンスのリーダー、レイア・オーガナ将軍から、彼女の兄ルーク・スカイウォーカーの居場所を知るという探検家ロー・サン・テッカの捜索任務を依頼されるところから始まります。
ポーはレジスタンスの中から精鋭メンバーを選び、任務遂行のためのチーム「ブラックスコードロン」を結成。テッカが最後に滞在していたという惑星へ向かいます。テッカのことを知るという、謎の巨大な卵を護る養育団との交渉を行っている最中、ポーの相棒BB-8が、ポーの機体から見つけた出したのは何者かによってつけられた発信器でした。間を置かず、ファースト・オーダーのエージェント・テレックスが彼らの前に現れ、上空ではブラックスコードロンとタイ・ファイターの戦闘が始まります……。

『フォースの覚醒』冒頭でポーとテッカが出会うに至るまでの経緯を描いた本作は、映画の世界観そのままで、遊び心もたっぷりの冒険譚に仕上がっています。ポーをはじめとした『フォースの覚醒』に登場するキャラクターの他、これまでのスピンオフ作品のキャラクターも再登場。彼らの大活躍を是非ご堪能ください。

同時収録は『C-3PO』。
『フォースの覚醒』でC-3POが赤銅色の腕をつけていた理由が明かされる短編です。『スター・ウォーズ』世界の名脇役であるドロイドたちの「思い」に迫る、ファン必読の一作と言えるでしょう。
さらにレジスタンス基地でのBB-8の小さな活躍を描いた、かわいいミニコミックも収録。
『フォースの覚醒』を観た方ならば、誰もが楽しめる一冊となっています。

★おまけ
昨年2016年末に書店にて無料配布を行った『スター・ウォーズ・コミックシリーズガイド』。これまでヴィレッジブックスが刊行した、小説、コミックを含むスター・ウォーズ関連タイトルを時系列順に詳しく解説いたしました!こちらをWEBでも公開!
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